大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和52年(ネ)2087号 判決 1979年8月30日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一  申立

一  控訴人ら

(本案前の申立)

原判決を取消す。

被控訴人らの訴を却下する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

(本案の申立)

原判決を取消す。

被控訴人らの請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文同旨の判決。

第二  当事者の主張、証拠関係

当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり付加するほかは、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する(ただし、原判決三枚目表三行目の「作成した」を「記載した」と改め、同一一ないし一三行目を削除する。)。

一  被控訴人ら

甲第二号証、第三号証の一、二、第四、五号証、第六号証の一、二、第七ないし第一一号証を提出。甲第七号証は乙第二号証を中身として送付した封筒である。

当審における被控訴人竹村俊雄本人尋問の結果を援用。

乙第二号証の原本の存在及び成立を認め、同第四ないし第八号証の成立を認める。同第九号証の一について原本の存在及び成立は不知、同第九号証の二、第一〇号証の成立は不知。検乙第一ないし第七号証は不知。同第八、九号証の表題及び本文が榮蔵の記載したものであることは否認する。

二  控訴人ら

乙第四ないし第八号証、第九号証の一、二、第一〇号証、検乙第一ないし第九号証を提出。検乙第五号証はアサの筆跡、その余の検乙号証はいずれも榮蔵の筆跡である。

当審における控訴人竹村繁三、同竹村幾雄各本人尋問の結果を援用。

甲第六号証の一、二、第八号証の成立は不知。その余の前記甲号各証の成立を認める。甲第七号証(封筒)の中身が乙第二号証であつたことも認める。

理由

一  当裁判所は被控訴人らの本訴請求を正当として認容すべきものと判断する。その理由は、次に訂正するほかは原判決の理由と同一であるから、その記載を引用する。

(一)  原判決七枚目表六行目「本件遺言者」を「本件遺言書」と訂正する。

(二)  同表九行目「アサが」から一二行目「意思表示」までを「榮蔵はアサをして榮蔵の全財産を相続させるという榮蔵の意思表示と、後にアサが死亡したときはアサは榮蔵から相続して自己の所有となつた遺産につき遺言書記載のとおり分割方法を指定するというアサの意思表示」と訂正する。

(三)  同七枚目裏三行目「仮に」から八枚目表二行目「場合でも」までを「本件遺言書を榮蔵がアサの意思にかかわりなく一人で作成したことを認めるべき証拠はなく、かえつて成立に争いのない乙第三号証、当審における控訴人竹村繁三、同竹村幾雄及び被控訴人竹村俊雄各本人尋問の結果及び弁論の全趣旨を総合すれば、本件遺言書は、榮蔵がその主導の下に作成したものであるが、独断によるものではなく、榮蔵がアサに対し右遺言書の内容を説明したうえその共同遺言者としてアサの名を記載するについてアサの承諾を得たものと認めるのを相当とし、従つて、本件遺言書による遺言は、」と訂正する。

二  よつて、原判決は結局相当であつて本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例